思い浮かべる人も多いのではないだろうか。発売から50年以上経ち、簡単に
食べられる食事として浸透したレトルトカレー。しかし、その食習慣を変える
かもしれない画期的な商品が2月21日に江崎グリコから地域限定で発売された。
フリーズドライ製法の「カレーポット」だ。
「レトルトカレーは保存性に優れ、調理も簡単。しかし、その形態は50年以上
変わっていない。“ポストレトルトカレー”はできないかと思い続けてきた」。
そう熱く語るのは、レトルトカレー全般のマーケティングを担当する、マーケ
ティング部担当課長の村上和義氏だ。
■「調理時間30秒」が目標
開発にあたってかかげたのが、「調理時間は30秒」という目標だった。レトルト
カレーの調理は簡便だが、湯を沸かし、湯煎に約3分かかる。この時間を劇的に
短くできれば勝機があると考えたのだ。結果、フリーズドライ製法という選択肢が
出てきた。これならば、湯をかけるだけですぐにカレーが出来上がる。
ただし、フリーズドライのカレーはこのカレーポットが初めてではない。09年に
フリーズドライ食品大手の天野実業が「瞬間美食」シリーズを発売済みだった。
この商品に対し、カレーポットは2つの点で差別化を図っている。
一つは、発泡スチロール製のカップが付属している点だ。示された線まで湯を注ぐ
だけでよく、計量カップなどで量る手間を省ける。瞬間美食は「150mlの熱湯を注ぐ」
と指示されているだけ。たしかにカレーポットのほうが親切だ。もう一つはとろみ。
とろみを付けるには通常、小麦粉が用いられるが、これでは湯をかけても元に戻ら
ないため、新技術を開発。「特許出願中のため詳しく話せないが、野菜の繊維を
使っている」(村上氏)という。
■両商品の違いは?
実際に「ビーフカレー」と「チキンカレー」の2種類を食べてみた。さすがにドロッ
とした食感とまではいかないものの、とろみは感じられた。具材は少なめで、
「煮込んだカレーソースのおいしさを訴求する」(村上氏)という。迎え撃つ
天野実業は、瞬間美食の味はそのままにパッケージをリニューアル。服部栄養専門
学校校長の服部幸應氏が推薦する「服部幸應推薦フリーズドライカレー」として
2月20日から通販サイトで発売を始めている。百貨店、高級スーパーなどの店頭でも
3月22日から販売される予定だ。
「服部幸應推薦 香る野菜カレー」も試食してみた。とろみはほとんどなく、サラッ
とした口当たり。しかし、具材はかなり大きく、存在感があった。インゲンや赤ピー
マンなど、野菜の色が鮮やかなのも特徴。色が損なわれないのは、フリーズドライの
長所の一つだ。(※続く)
●「カレーポット」(262円)。味はビーフカレー<中辛>、インド風チキンカレー
<中辛>の2種類。当面は関東、甲信越、静岡県限定で販売
●競合となる天野実業の「服部幸應推薦フリーズドライカレー」(315円)
◎カレーソース
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20120220/1039773/?top4_img
具材が少なくとろみのあるカレーポットと、具材が大きくとろみは少ない服部幸應
推薦フリーズドライカレー。対照的なのは“カレーの専門家”であるグリコと“フリーズ
ドライの専門家”である天野実業の考え方の違いのようにも思える。
■2012年を“新しいカレー元年”にしたい
グリコの村上氏は「我々はこの商品を単なるレトルトカレーの競合品とは考えていない。
むしろ、今まで考えられなかった利用シーンを開拓し、カレーを食べる機会を増やし
たい」と話す。目標は「湯を注いでカレーを食べるという習慣を根づかせ、将来
『2012年は新しいカレー元年だった』といわれることを目指している」と壮大。
レトルトカレーメーカーとして長い歴史のあるグリコは、登山家の栗代史多氏をPRに
起用し、アウトドアでの利用も訴求。積極的に拡販を進めるという。
これに対し、天野実業の吉岡信一社長も「今までフリーズドライカレーの認知度は
低かった。グリコの参入により相乗効果があるだろう」と期待をかける。同社の
フリーズドライカレーの販売量は、過去2年、年間80万食で横ばい。リニューアル
効果も含め、これを1.5倍にしたいという。
レトルトカレーより手軽。しかも味も本格派とあって、認知度が高まればフリーズ
ドライカレーが一気にメジャーになりそうだ。

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